特許審査基準

そういえば、10月1日から特許の審査基準が新しいものが適用されています。
したがって、試験としても、新しい審査基準で考える必要があります。

その中で影響を受けているものが出てきます。例えば「進歩性の判断基準」ですが、新しい審査基準では改正されています。
したがって、従前のレジュメの記載とは異なることになります(一生懸命覚えて頂いたのに申し訳ないです)。

2. 進歩性の判断に係る基本的な考え方
進歩性の判断の対象となる発明は、請求項に係る発明である。
審査官は、請求項に係る発明の進歩性の判断を、先行技術に基づいて、当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたことの論理の構築(論理付け)ができるか否かを検討することにより行う。
当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたか否かの判断には、進歩性が否定される方向に働く諸事実及び進歩性が肯定される方向に働く諸事実を総合的に評価することが必要である。そこで、審査官は、これらの諸事実を法的に評価することにより、論理付けを試みる。
(略)
論理付けを試みる際には、審査官は、請求項に係る発明の属する技術分野における出願時の技術水準を的確に把握する。そして、請求項に係る発明についての知識を有しないが、この技術水準にあるもの全てを自らの知識としている当業者であれば、本願の出願時にどのようにするかを常に考慮して、審査官は論理付けを試みる。
(略)
3. 進歩性の具体的な判断
審査官は、先行技術の中から、論理付けに最も適した一の引用発明を選んで主引用発明とし、以下の(1)から(4)までの手順により、主引用発明から出発して、当業者が請求項に係る発明に容易に到達する論理付けができるか否かを判断する。審査官は、独立した二以上の引用発明を組み合わせて主引用発明としてはならない。
審査官は、特許請求の範囲に二以上の請求項がある場合は、請求項ごとに、進歩性の有無を判断する。

(1) 審査官は、請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に関し、進歩性が否定される方向に働く要素(3.1参照)に係る諸事情に基づき、他の引用発明(以下この章において「副引用発明」という。)を適用したり、技術常識を考慮したりして、論理付けができるか否かを判断する。
(2) 上記(1)に基づき、論理付けができないと判断した場合は、審査官は、請求項に係る発明が進歩性を有していると判断する。
(3) 上記(1)に基づき、論理付けができると判断した場合は、審査官は、進歩性が肯定される方向に働く要素(3.2参照)に係る諸事情も含めて総合的に評価した上で論理付けができるか否かを判断する。
(4) 上記(3)に基づき、論理付けができないと判断した場合は、審査官は、請求項に係る発明が進歩性を有していると判断する。

上記(3)に基づき、論理付けができたと判断した場合は、審査官は、請求項に係る発明が進歩性を有していないと判断する。
上記(2)の手順に関し、例えば、請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に対応する副引用発明がなく、相違点が設計変更等でもない場合は、論理付けはできなかったことになる。
他方、上記(4)後段の手順に関し、例えば、請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に対応する副引用発明があり、かつ、主引用発明に副引用発明を適用する動機付け(論理付けのための一要素。上図を参照。)があり、進歩性が肯定される方向に働く事情がない場合は、論理付けができたことになる。

これを論文的にどう書くか?というのは、また別のお話になります。