変更出願の出来る範囲について

質問があったのでお答えします。

特→実への出願変更で質問です。客体要件について、H18特Iでは、原出願の変更直前の明細書等の記載及び原出願当初の明細書等の記載の範囲になっています。変更直前の明細書等の記載が、要件としてAndで入ってきている理由が知りたいです。

この考え方については、分割出願と同様の考え方です。
すなわち、この考え方が原則の考え方となります。
この点は、審査基準にも記載があります。

出願の変更は、原出願と変更された後の出願との間の出願形式を変更するものであることから、以下の(要件1)が満たされる必要がある。また、変更出願が原出願の時にしたものとみなされるという出願の変更の効果を考慮すると、以下の(要件2)も満たされる必要がある。

  • (要件1) 変更出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、変更直前の原出願の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面(以下この章において「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であること。
  • (要件2) 変更出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であること。

これが原則です。

ただし、補正が出来る時期の場合については、「仮に補正をすれば、出願当初の戻れる」ため、要件2が具備されていれば問題有りません。

ただし、原出願の明細書等について補正をすることができる時期(原出願の出願日から1 月以内(実用新案法第2 条の2 第1 項及び実用新案法施行規則第1条))に出願の変更がなされた場合は、(要件2)が満たされれば、(要件1)も満たされることとする。これは、変更直前の原出願の明細書等に記載されていない事項であっても、原出願の出願当初の明細書等に記載されていた事項については、補正をすれば、原出願の明細書等に記載した上で、出願の変更をすることができるからである。

審査基準は「特→実」の記載ですが、他の場合も同様です。

ただ、ここまで書くと論文では煩雑ですし、短答試験でも混乱する可能性があります。
したがって、補正可能な時期なら「出願当初」の範囲、それ以外は「直前」の範囲と理解していることが殆どだと思います。