かっこいい

今日の特許ニュースを見ていたのですが、とある意匠権侵害差止等請求事件に関する記事でした。
評釈されているのは、本や論文も多く出されている意匠の世界では最も有名なグループに入る弁理士の先生。

判例の評釈が「この判決もまた総論において、「意匠の類似」の意義について誤っている。」から始まるという書きっぷり。
いや、かっこいいです。

更に、「意匠法24条2項の規定内容自体、その立法時に誤りを犯している」と酷評。
「第1に、「登録意匠とそれ以外の意匠」とは何をいっているのかよくわからない。」と。
これ、受験生でなくても、自分のような一弁理士が言ったら「お前が勉強不足なんだよ!」と一喝されて終わる話。
しかし、この先生だからこそ言える話だと思います。

色々記載があるのですが、24条2項の規定自体、そもそも需要者でなく、当業者が判断すべきであるとのこと。
商標法と意匠法とは異なるなど、完結に書かれていますが、一つの考え方だと思います。
あと面白かったのは、最初の侵害訴訟の判例で「美感」と「美観」とを使い分けていないことにも問題提起されていました。
(裁判所は気にしないで判決文を書いているようです)

非常に面白い記事でしたが、当然受験生が書いたらアウトの話です。
このように、しっかり研究されている先生だから記載出来る話。
ちなみに、普通の弁理士であればそれは同じです。
批判ができるのは、当該分野を相当熟知している必要があります。
しっかり研究されているから批判もしっかり出来る。
自分としてはかっこいいと思っています。

受験生の方でも条文や判例に対して「こうあるべきだ!」と主張される方がときどきいます。
具体的に話を聞くと着眼点が鋭かったりするのです。
そういう人こそ、是非合格して頂き、将来的に面白い論文を書いて欲しいといつも思っています。


なお、この先生が今年の試験委員でしたら、意匠の論文問題は無かったかも知れませんね。