特64条の2の質問について

質問があったのでお答えします。

特64条の2第1項2号について、青本に第三者の不利益を生じるおそれ、とありますが、不利益とは例えば何をイメージしたら良いでしょうか。また、パリ優先だけが対象になっていて国内優先が対象ではないのは何故でしょうか。よろしくお願いいたします。

まず、公報掲載事項の中には、「優先権情報」が記載されます。
これらは、必要な事項の一つとして、公報のフロントページの書誌事項として記載されます。

優先権情報−優先権主張を伴う出願の場合、優先権主張番号、優先日及び優先権主張国を掲載

ちなみに、それ以外では、分割・変更出願の場合の原出願の表示、新規性喪失の例外について等も掲載されることになります。

例えば、補償金請求権で警告が来た場合、第三者は公報で特許出願を確認します。
このとき、「優先権の主張の有無」によって、第三者の先使用権との関係等が変わって来ます。
出願を見て、自社実施より後の出願だと安心していたら、実はパリ優先権が主張されていて、先使用権を有していなかった!となるためです。
出願公開公報は、一度発行されてしまえば更新されるものではないため、解らなくなってしまうのです。
したがって、パリ優先を主張する旨の手続がされている場合は、とりあえず優先権証明書提出等、パリ優先権が適切に処理されるまで審査請求は出来ないことになります。

国内優先権が対象となっていないのは、優先権証明書の手続がない為、主張してしまえば優先権が認められるためです。
(パリ優先権は、主張+証明書面提出という2つの手続が必要です)