微妙なPCTの出題

昨日ブログでも書きましたが、色々と問題が微妙で申し訳無いです。
自分としては「条文の見直し」という意味だけで作っていました。
1人でも混乱するような状況になるのは申し訳ないので、ここまでということで。

問題1


正しくありません。
PCT規則17.1です。

記載している範囲は指定官庁は確かに無視できます。
ただ、無視出来ないパターンとして「国際事務局が優先権書類を実施細則に定めるところにより国際出願の国際公開の日前に電子図書館から入手可能である場合」があります(PCT規則17.1(bの2))。
なので、電子図書館から入手出来る場合には無視できません。
なお、それを踏まえた上で「正しい」(問われていること自体はあっているので)と考えたのであれば問題ありません。

問題2


正しいです。

これは文字数の関係で、どうやっても疑義のない問題が作れませんでした。
確認したかったのは、PCT規則49.5(cの2)です。
当該規則は、出願時の請求の範囲の翻訳文及び19条補正の翻訳文の両方を要求する指定官庁に対して、翻訳文がどちらか1つしか提出していない場合です。
この場合の効果として、提出されなかった翻訳文の範囲を無視or国際出願取り下げとみなすことができます。
ということで、規則上「2の翻訳文の1のみ」となっているので、問題文通り「補正後」であっても条文上は成り立ちます。
すなわち、翻訳文を提出しないことにより、無視されるだけでなく、国際出願自体の取下げもあり得るということを確認したかった意図です。
ただ、文字数が条文の文言で作ると40文字くらいオーバーしていしない、かなり微妙な表現になってしまいました。
(補正についても表現が正しくありません)

出題の意図

2つとも確認したかったのは、「無視できる」という規定です。
PCTで「無視」というのは言い過ぎな気がするので、単純に「正しくない」と考えがちです。
問題1も、「無視」という文言だけで「正しくない」と判断したのであれば正しくはありません。

なお、この2つの規定以外では、PCT規則49.5において、19条補正の説明書の翻訳文を提出しなかった場合、指定官庁は説明書を無視することができるという規定があります。
また、PCT規則91.3において、明白な誤記の訂正を指定官庁が無視できる場合の規定があります。

ということで、PCT規則上、「無視できる」という規定は

  • 主体は指定官庁
  • 場面は4つ(優先権証明書、19条補正にかかる翻訳文、19条補正の説明書、明白な誤記の訂正)

となります。


答練の問題も含めてですが、問題が出来たかどうかは気にしなくても良いと思います。
効果的なのは、問題をきっかけに条文を読むことだと思います。