問題で問われている深度

質問があったのでお答えします。

意匠法22-12-ハついて質問です。のみ品の輸入に対し損害賠償請求できる←◯となっています。
この問題には故意過失の記載がありませんので回答に迷いました。「損賠は差止とは異なり、無過失の場合は損賠請求不可」という問題がこれまで多くあったからです。この問題、迷いなく◯と出来るものですか?

問題は以下の通りです。

[22-12-ハ]意匠権者は、業として、当該登録意匠に係る物品の製造にのみ用いる装置の輸入をする者に対して、損害賠償を請求することができる。

日本語の解釈の問題というか、どこまで問題を考えるかという質問です。
この手の質問は受験生から少なくありません。

いつも言うように、短答試験の枝は「○」「×」のどちらがより適切か?という視点は大切です。
仮にこの問題を「×」としてしまった場合、損害賠償は請求できないとなってしまい適切ではありません。
例えば、

  • 意匠権者は、業として、当該登録意匠に係る物品の製造にのみ用いる装置の輸入をする者に対して、常に損害賠償を請求することができる。

であれば「×」かもしれません。

  • 意匠権者は、業として、当該登録意匠に係る物品の製造にのみ用いる装置の輸入をする者に対して、損害賠償を請求することができない場合がある。

であれば「○」かもしれません。

しかし、今回は単純に原則を聞いているので、弁理士としてどう答えるか?という視点になります。

例えば、以下の問題はどう考えるでしょうか?

車は、進行方向の信号が青信号のとき、交差点を進むことができる。

普通に考えれば「○」だと思います。
でも、「進行方向でない方向から緊急車両が来ている場合は、止まらなければいけないから「×」ではないか?」と考えていることと同じです。

例外に基づいて、枝全体の答えを判断するというのは間違えるポイントです。
例外まで問われているのか、原則を問われているのか、問題の深度を判断するようにして下さい。