意匠法60条の10について
質問ではないのですが、
つぶやきで意匠法60条の10について混乱しているゼミ生がいたので説明しておきます。
まず、特184条、意60条、商68条の条約関係の優先権手続について。
条文の作りは「出願手続の一元化」という趣旨
→ 優先権主張をする場合の手続規定は適用されていません
優先権手続をキャンセルする意味の規定が
意60条の10第1項(商68条の15第1項等も同様)です
つづいて、証明書等の提出手続は、ジュネーブ改正協定上国際出願に伴わせる手続とはなっていません。
そこで、証明書等は、日本に直接提出できることにしており、
特43条の規定を読替準用しています
(提出時期を「国際公表があった日から3月」に変えています意施規12条の2)
したがって、いずれの場合でも証明書等の提出は必要です。
(この辺がPCT、マドプロと扱いが異なります)
そして、2項では主体を
「ジュネーブ改正協定第6条(1)(a)の規定による優先権の主張をした者」
にすることで特43条を準用しています。
ジュネーブ改正協定第6条(1)(a)では、
パリ条約同盟国又はWTO加盟国についてされた先の出願に基づいて優先権主張が可能です。
両方の国のどちらで手続をしたとしても、証明書等の提出の規定が適用されるような条文になっています。
仮に特43条の3を準用してしまうと
パリ条約同盟国、WTO加盟国のいずれでもない国(特定国)が含まれてしまいます
特定国の出願は、ジュネーブ改正協定の規定上、優先権主張手続ができません。
特定国を除外するために、意60条の10のような規定になっています。