誤訳訂正書による補正

「誤訳訂正書」に関する質問があったのでお答えします。

まず、誤訳訂正書による法的な効果ですが、補正により「新規事項の追加」(特17条の2第3項)について判断されなくなります。
したがって、仮に補正により原文記載事項を超える補正を行った場合、新規事項の追加の代わりに「特49条6号」の拒絶理由が通知されます。

誤訳訂正書による補正の目的

誤訳訂正書による補正が「誤訳の訂正かどうか」については判断は行いません。

誤訳訂正書による補正に誤訳の訂正を目的としない補正が含まれていたとしても、そのことは、拒絶理由とされていない。
したがって、審査官は、誤訳訂正書による補正が誤訳の訂正を目的としているか、それ以外を目的としているかの判断を行わない
(審査基準第VII部第2章外国語書面出願の審査4.1)

通常の補正で誤訳訂正を目的とする補正を行えるかどうか?

他の明細書記載事項から判断し、新規事項追加に該当しなければできないことはありません。
試験としては出ませんが、実務的には料金がかからないので検討の余地はあります。

誤訳の訂正を目的とする補正は、誤訳訂正書によりされなければならない(第17条の2第2項)。
したがって、誤訳の訂正を目的とする補正を補正書によりすることは、通常、許されない。
ただし、誤訳の訂正を目的とする補正が補正書によりされた場合であっても、結果として、翻訳文新規事項を追加する補正でなければ、そのような補正を補正書によりすることは許される。
(審査基準第VII部第2章外国語書面出願の審査4.1)

誤訳訂正書に記載の理由が十分でない場合

訂正の理由の記載や、訂正の理由の説明に必要な資料が不十分であるため、誤訳訂正後の明細書等に原文新規事項が存在しないとの心証を得られない場合は、審査官は、出願人に対して、第 194 条第 1 項(書類の提出等)の規定に基づく審査官通知、電話等により釈明を求めることができる。
(審査基準第VII部第2章外国語書面出願の審査4.1.1)

誤訳訂正書に通常の補正を含めることができるか?

可能です。
別々に提出も可能ですが、併せて記載することができます。

誤訳訂正書は本来誤訳の訂正を目的として補正をする際に提出する書面であるが、実務上は、誤訳の訂正を目的としない補正が併せて必要となる場合も生じ得る。
この場合は、誤訳の訂正に加えて、補正書による補正で対応可能な補正事項を補正する場合には、出願人は、これを誤訳訂正書に含ませ、補正書を別途提出することなく 1 回の補正手続で行うことが望ましい。
これとは逆に、誤訳の訂正を目的とする補正を誤訳訂正書によらずに補正書に含ませることはできない。
(審査基準第VII部第2章外国語書面出願の審査6.3)

同日に手続補正書と誤訳訂正書が提出された場合

補正の順序によって内容が変わる場合は、補正の順序を判断します。
順序が特に変わらなければ、適宜補正の内容を反映させて判断します。
試験としては全く関係ありません(問われることはないです)。
実務的には、最後の拒絶理由通知のときは、審査ハンドブックに細かく記載があります。

同日に補正書と誤訳訂正書とが提出されている場合は、審査官は、補正の順序によって、明細書等の内容が変わり得るか否かを判断する。
補正の順序によって内容が変わり得る場合とは、例えば、それぞれの補正における具体的な補正箇所が同一である場合、最後の拒絶理由通知後に補正書と誤訳訂正書とが提出された場合(補正が適法か否かによって内容が変わり得る)等である。
補正の順序によって内容が変わり得ない場合とは、例えば、最初の拒絶理由通知に対して補正書と誤訳訂正書とが提出された場合であって、それぞれの補正における具体的な補正箇所が異なる場合等である。
(審査ハンドブック第VII部第2章外国語書面出願の審査7201)


今日は一日寒かったですね。
週末は雪が降るかも?って予想です。