(質問)無効にされたの後の意味

質問があったのでお答えします。

「訂正審判は、特許権が無効審判により無効にされた後は、請求することはできない」という問題で、後発無効で無効になった場合、後発無効に該当するに至った時までの特許権は残っているのでその部分について訂正審判を請求できると考えて×にしました。後発無効の場合も訂正審判はできないのでしょうか。

この問題は、特許法126条第8項について聞いています。

訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。ただし、特許が取消決定により取り消され、又は特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。

無効にされた後の読み方

この場合、「特許無効審判により無効にされた後」の条文の読み方になります。
ここで言う「無効にされた後」というのは、権利が無くなった後のことを示しています。
したがって、後発無効の場合、後発無効で消滅した部分については「無効にされた後」に含まれます。
しかし、後発無効理由に該当する前、すなわち消滅していない部分については「無効にされた後」には含まれません。

今回、問題文では「特許権が無効審判により無効にされた後」と聞かれていますので、ここには後発無効で有効な期間には含まれていないことになります。
後発無効を検討する必要が無い問題となります。

補足

この「無効にされた後」の読み方ですが、実用新案法になりますが、審判便覧51-12に記載があります。
同じように、無効にされた後では、7項訂正ができない規定がありますが、後発無効の場合は、当然有効な部分については7項訂正が可能という内容の記載があります。

請求項の削除を目的とする訂正は、実用新案権の消滅後においてもすることができるが、実用新案登録無効審判(実37条1項)により無効にされた後は、することができない(実14 条の2第8項)

(注)実37条1項6号に規定する「実用新案登録がされた後において、その実用新案権者が実2条の5第3項で準用する特25条(外国人の権利の亨有)の規定により実用新案権を亨有することができない者になったとき、又はその実用新案登録が条約に違反することとなったとき」に該当する場合は、当該実用新案登録を無効にすべき審決が確定したときでも、実41条 で準用する特125条 ただし書の規定により無効になるまでのものは有効であるので、実用新案権が同号に該当するに至った時以前のものについては訂正をすることができる(実41条→特125条)。

この内容は、実用新案法で割と質問があります(なので、根拠を実案で押さえてます)。
この考え方は、条文の作りから、特許法でも同様となります。