間違えの種類
過去問や短答答練を解くと、「間違えた問題」が出ます。
ただ、この間違えには種類があります。
この間違えた問題の種類によって復習の仕方が変わります。
この辺を意識していない人も多いので、今日はその点を説明しておきます。
なお、論文試験等でも同じことが言えます。
1.インプットが出来ていない問題
これは、「解説を読んで始めて知った」という問題であり、そもそもインプットが出来ていない問題です。初学者に多い間違いであり、勉強を始めたばっかりはほとんどこれです。
したがって、論文試験の勉強、口述試験の勉強ではあまり発生しないミスです。
短答試験の勉強において、4月のこの時期に過去問の範囲でのこのミスがあると少し問題です(ただし、条約をのぞきます)。
4月は最後の総仕上げ。もしあるなら、この部分をしっかり潰して下さい。
この状態はインプットが出来ていませんので、どんなに考えても出来ません。
短答模試とかで、審査基準や判例といった部分だとあるかも知れません。
ただ、過去問の範囲から逸脱しているなら、あまり気にすることはありません。
2.アウトプットが出来なかった問題
解説を読んで「あ!そうだった」と気がつく問題です。
多くのミスがここに属します。
特に論文試験の学習は8割はここになります。
例えば「不実施の裁定通常実施権の移転は事業とともにが要件だった!」といった問題で間違える場合です。
解説を読めば思い出した、条文読んで思い出した。
きっと「記憶」にはあるはずなのですが、引き出せなかったために解答できなかった問題です。
理由はいくつかあると思いますが、結果として「理由付け(趣旨)」が弱かったり、「意識」が弱かったのが原因でしょう。
この時期にやって間違える問題は、本試験でも繰り返し間違える可能性は高いと思います。試験に直前に見返すノートにまとめる、過去問集にグリグリ印をつけるといった作業が必要となります。
なお、「問題文は特許庁長官だけど、答えは審判長だった!」「問題文は裁量規定だったけど、答えは強行規定だった!」ってレベルの間違いも、ここに入ります。
これらはケアレスミスではありません。
3.ケアレスミス
とても厄介なところになります。
問題文の読み間違い、勘違いによる間違いです。
このミスが厄介なところは、「5枝択一」問題では発生しにくいのですが、いくつあるか問題では頻発しやすいということです。
更にミスした本人も「おっと!間違えた」程度にしか考えていないことも、同じミスを頻発する原因になっています。
4〜5月は、この「ケアレスミス」をする状況をしっかり分析し、どういうところで間違えるか?というのをしっかり潰しておくべきです。
例えば、「場合がない」を「場合がある」と勘違いした人は、「場合がある」を2重線、「場合がない」を波線としていつも印をつける、そういう対策をする必要があります。
一回でもしたミスは本試験でもする可能性があるのです。
なお、ケアレスミスは、実は「理解していない問題」である場合もあります。
ご自身で問題を解くと解らないのですが、帰れません補講等をやるとあぶり出されます。
帰れません補講時、本当に単純なケアレスミスなら見直して気がつくのです。
見直しても気がつかないケアレスミスは、本試験でも気がつきません。
「あっ、ちょっと間違えた」「本当は解っていた」
ではなく、間違えたか原因をしっかり分析し、同じミスをしないように気をつけて下さい。
4.サブマリンミス
さて、これは特殊なミスなのですが、サブマリンミス。
サブマリン(潜水艦)のように潜っていて、突然浮上するミスです。
これは「普段は正解していた枝」が、突然「間違える枝」に変わるものです。
これは帰れません補講をやると解ります。
帰れません補講は自分のゼミとか講座で時々実施しているものです。
例えば、15枝解いてもらって、間違えた個数だけお伝えします。
どこが間違えたか伝えていません。
「1つ違いますよ」
といって、見直し後、直してもらいます。
ここで、割と多くの受講生が次に持ってくると
「2つ違います」
と、間違えが増えるのです。
ようするに、本来間違えている枝を直さず、最初正しく答えていた枝を直してしまうのです。
例えば「○」で正解だった枝が「×」になることで、間違えの個数が増えます。
受講生は「あー!間違えそこじゃなかったか」と気楽に考えますが、この正しい答えを見直しによって間違えに変えてしまったミス。
このミスが「サブマリンミス」です。
このミスが厄介なのは、実は最初に解いたときは「たまたま合っていただけ」という不安定な状態であることです。
例えば、
[16-26-イ]特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。
この問題は、特33条第2項を聞いています。
この問題って、(解っていれば)100回見直しても「○」であって、絶対「×」とは解答しない枝です。
しかし、サブマリンミスをした問題は、考え直したら逆の答えになった問題です。
ということは普段気がつかないミスが潜在的にあるということです。
そして、日によって「正解」「不正解」が変わります。
「不正解」になった日が本試験だと、残念な結果になってしまうのです。
このミスは自分で勉強していてもまず気がつくことが無いのが厄介です。
それは、過去問で「正解した枝」=「理解している枝」と思ってしまうからです。
正解した枝についても、しっかりとした根拠や条文の知識を、誤魔化さず勉強するしか防げないミスになります。
しっかり条文を見る、理解するということを誤魔化さないことが結局合格に繋がります。
この時期は知識がかなりついてくる時期です。
残りの曖昧な部分をキッチリ詰めて、一歩でも合格に近づけて下さい。