質問について
質問があったのでお答えします。
17-15-ニと15-48-ニの違いについて質問です。
続審主義が採用されるのは同じ理由、同じ引例に基づく場合であり、同じ引例でも違う理由の場合には新たに拒絶理由通知をする、という考えであっているでしょうか?
以下、過去問です。
[17-15-ニ]審査において、引用例aに基づく進歩性欠如を理由とする拒絶理由が通知され、ついで、引用例bに基づく進歩性欠如を理由とする拒絶理由が通知され、後者の理由で拒絶をすべき旨の査定がなされ、拒絶査定不服審判が請求された場合において、審判官は、改めて拒絶理由を通知することなく、引用例aに基づく進歩性欠如を理由として、拒絶をすべき旨の審決をすることができる。
[15-48-ニ]文献公知発明と同一であるとの理由により拒絶査定がなされた場合、拒絶査定不服審判において、審判官は、その文献公知発明に基づいて容易に発明をすることができたと判断するときには、意見書提出の機会を与えることなく、審判の請求は成り立たない旨の審決をすることができる。
特許庁は、「チャンスは1回くれる」の原則です。
なので、15-48は29条1項3号で拒絶査定されているのですが、審判段階で29条2項の拒絶審決をしたい訳です。
しかし、拒絶査定時に29条2項を言っていなければ、改めて拒絶理由を通知しなければならないことになります。
なお、審査段階で指摘された文献や、拒絶理由、それに対する意見書等を、出願人は改めて提出する必要がないので続審主義です。
審査-審判は続審主義の関係にありますので、両方の問題とも続審主義にはなっています。
(ならないのは審判-審取の段階です)
補足1
まず実務的には15-48の場面は想定しにくいです。
通常、審査官は29条1項と2項は毎回同時に通知してきます。
なお、29条1項で拒絶査定となった出願で29条2項で拒絶審決をしたい事例は審判便覧に記載があります。
やはり拒絶理由を通知すべきという内容です。
補足2
17-15は、違法性はないのですが、実務的には拒絶理由が通知されます。
これは審判便覧62-06に記載されています。
「拒絶査定を行う際には、先に通知した拒絶理由が依然として解消されていない全ての請求項を指摘し、解消されていない全ての拒絶理由を明確に拒絶査定に記載することとしているので、審判請求人は上記審判において拒絶をすべきであるとの判断の根拠となった拒絶理由は解消したものと判断するはずであり、この拒絶理由により、改めて補正の機会を与えることなく、拒絶をすべき旨の審決をすることは、審判請求人から見て、不意打ちととられるおそれもあり、むしろ、改めて職権調査を行い、発見した全ての拒絶理由とともに、当該拒絶理由を通知することが適切である。」
勉強以外の質問について
質問があったのでお答えします。
①60才の弁理士で知財業務未経験者の場合の就職先はどのようなところがあるでしょうか。
このような場合は基本的には特許事務所になると思います。
企業の知財部は年齢制限等あります。
企業知財部への転職は、一般の転職と同じ位のハードルがあると思って下さい。
②特許事務所は即戦力を求めるので60才の未経験者は雇ってもらう可能性は低いでしょうか。
必ずしもそうとは言えません。
特許事務所はかなりあります。
特許事務所が欲しいと思っている人材と一致すれば転職は可能です。
人事というのは、そこのマッチングが難しいと思います。
③特定分野で世界トップクラス以上の超高い技術を持ってる場合、弁理士業務の領域は広がるでしょうか、特別な業務領域の可能性はあるでしょうか。
どのような技術を示しているか解りませんので答えようがないのですが・・・
その分野において、出願の対応ができる弁理士がいなければ需要はあると思います。