短答基礎力完成講座 4回目・5回目

今日は分割出願〜実施権まで行いました。
まず最初の分割出願は一つの山場です。それは論点が複数あるからです。例えば分割出願が出来る範囲です。分割出願が出来る範囲を聞くと、結構あまり考えずに「出願当初の範囲」と答える人が多いです。

例えば

出願 イロハ→(補正でハを削除)→イロ

となっている特許出願があるとき、ハを分割出願できるか?という問題です。これは出来ます。44条1項1号の分割であり、出願当初の範囲で可能だからです。この出願当初の範囲で可能という「根拠」はどこでしょう。
特許法44条の条文からは素直に読めません(最初に願書に添付された・・・と文言が無い)。従って、原則は分割直前の明細書等(かつ、出願当初の明細書等の範囲)と考えるべきです。これが44条1項2号、44条1項3号の分割出願です。

これが補正が出来る時期(44条1項1号)であれば、補正が併せて行えます。補正が行える範囲は「出願当初の明細書等の範囲」です。とすれば、分割出願をする直前に更に「ハ」を戻す補正を行うことも、理論的には可能です。

イロ→(補正でハを追加)→イロハ

これでハを分割出願するのは問題有りません。ただ、実際この手続を出願人に要求すると煩雑ですし、ご存じのように17条の2第3項は満たしていますが、時期によって4〜6項の問題があります。したがって、このような手続が出来ることから、これらの手続を省略して途中で削除されたとしても、分割出願できる運用になっていると理解すると自然です(なお、4〜6項は審査の迅速化の趣旨ですから、分割出願で絶対見なければいけないという理由にもならないでしょう。

多くの人が考えている分割出願の原則と例外ですが、規定的には「直前」が原則、「例外」が当初範囲という規定の方が何となくすっきり当てはまりそうです。

それ以外にも分割出願については色々と論点が山盛りです。