論文答案での文言の記載について

論文答案での文言について、以前散発的に回答したのでまとめておきます。
論文試験の文言(表現)は基本的に「条文の文言」をつかって書くべきです。それが原則だと思って下さい。

とはいっても、例えば特許法17条の2第4項について、毎回条文の文言で記載すると大変です。
したがって「いわゆるシフト補正の禁止」と書くのは許容されると思います。
しかし、特別な技術的特徴についていきなり「STF」と答案で略すのは、少し都合が悪いと思われます。

また、「特許請求の範囲」について、「請求の範囲」と略すのは許容範囲ですが、「クレーム」と書いてしまうと、場合によっては違和感を感じます。
例えば事例問題で書くことがたくさんあって、重要ではない箇所で「クレームを補正した場合には・・・」と書いても問題無いかも知れません。
しかし、ガッツリ補正の問題で、「クレームを補正し」と書くと、「特許請求の範囲って書いてよ」って思います。
そもそも、「クレーム」と略してもそんなにお得ではないと思うのですが・・・

さて、どの文言を使うか?という判断基準については・・・結局結論が出ないでしょう。
ある表現で合格したという人もいれば、問題無いという講師もいます。
逆に、ダメという講師もいるかも知れません。
実際のところ、採点の問題、その年の採点者によっても変わるかもしれません。

したがって、この場合の判断基準は「他の受験生がどう書くか?」という点になります。
例えば、「STF」って言葉を使う答案は殆ど見ません。
「クレーム」の表現も10枚に1枚以下の割合な気がします。

受験生は「意味が同じだから問題無い」と考えるかも知れません。
しかし、「他の受験生がやっていないことをわざわざやるリスクがあるのか?」という点です。

いつも書いていますが、試験は相対的な評価が入ります。
採点者がずーっと「特許請求の範囲」って書かれている答案を採点しているときに、いきなり「クレーム」と書かれると「うん?」と感じてしまう場合があるのです。他の受験生がやってないことは、それだけでリスクがあると思って下さい。

したがって、論理的な意味以上に「足並みを揃える」ということが意外に重要です。
試験はローリスク、ローリターンで良いのです。
当たり前のことを当たり前にやった人がさっくり受かるのです。

なので、「○○って書いても問題無いですか?」と聞かれれば、絶対的な評価ですから「問題無い」と答えるかもしれません。
しかし、「○○って他の人も書いていますか?」って聞かれれば、「他の人は書かないね」と言う場合がある訳です。
であれば、やはり他の人の表現に揃えた方が、リスクは低いと思います(一応自分はそこまで言うようにはしています)

もし受験生が周りにいるのであれば、「みんなはどう書いてる?」って聞いた方が実は良いのかも知れません(みんながマイノリティーなら困りますけど)