23-40-4と22-2-イ

質問があったのでお答えします。
この2つの過去問の違いが分からないというお話です。

4 組物の意匠の意匠登録出願が、出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似することを理由とした拒絶理由通知を受けた場合、その組物の意匠の構成物品の意匠について一又は二以上の新たな意匠登録出願をすることができる。

イ 組物の意匠登録出願について、公然知られた意匠に類似することを理由として拒絶をすべき旨の査定を受けたとき、その組物の構成物品の一つの意匠について、新たな意匠登録出願として意匠登録を受けることができる場合がある。

組物意匠に関する問題について、積極的に組物の登録要件が外れる記載が無い場合は、組物意匠としては認められるという前提があります。
したがって、上の2つとも8条の要件は満たしています。
8条の要件を満たす=1意匠ですので、分割は出来ません。
また、構成物品毎にも審査されません。

この2つの問題は、結論が逆のように感じるものなので、質問を受けやすい問題です。
この2つは何が異なるかというと場面です。

23年は「拒絶の理由通知を受けた場合」となっていますので審査中になります。
そして、問題文では「その組物の意匠」となっていますので、この場合は出願意匠です。
出願意匠について一又は二以上の新たな意匠登録出願という表現を用いているので「分割出願」が出来るかどうかを聞いている問題です。
組物意匠は、8条の要件を満たしているときは分割出来ません。

それに対して、22年の問題は拒絶査定を受けていますので、今は審査に係属していません。
そして、その組物の構成物品の一つの意匠について、新たな意匠登録出願と言われているので、今度は新出願となります。
構成物品をバラして出願することは出来ますので、組物全体がダメでも構成物品はOKの可能性はあります。
したがって、登録を受けることができる場合があるのです。

特に23年はちょっと解りにくい問題なのですが、審査中であること、「一又は二以上の新たな」という分割特有の言い回しが入っていることから、こちらは分割出願と読み取って欲しい問題です。