IKEA事件

短答解法の1回目で話した、IKEA事件についての補足です。
青本P.1267の10<商品に標章を付したもの>について、メタタグ等において商標を埋め込む行為は、原則的に商標としての使用から除外される旨が記載されています。

この点について、メタタグに商標の使用が認められた事案がIKEA事件(東京地判H27.01.29)です。

これは、被告が

少なくとも平成21年12月ころから平成22年11月8日まで,ウェブサイトを通じて消費者から原告製品の注文を募り,イケアストアで原告製品を購入して梱包,発送し,注文した消費者に転売する買物代行事業を営んでいた

のですが、そのサイトについて、IKEAが商標権侵害として訴えた事案です。

使用態様としては、

被告は,平成22年7月29日,被告サイトを表示するためのhtmlファイルに,タイトルタグとして,「 【<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/IKEA">IKEA</a> STORE】イケア通販」と記載し,メタタグとして,「<meta name=” Description”content= “【IKEA STORE】IKEA通販です。カタログにあるスウェーデン製輸入家具・雑貨イケアの通販サイトです。”/>」と記載していた。
平成24年7月ころ及び平成25年3月ころの被告サイトを表示するためのhtmlファイルには,タイトルタグとして,「 <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/IKEA">IKEA</a>【STORE】イケア通販 」 と 記 載 され, メ タ タ グ と して , 「 <meta name=”Description” content= “イケア通販【STORE】IKEA通販です。期間限定!!最大1万円割引クーポンを商品ご購入者様,全員にプレゼント!!カタログにあるスウェーデン製輸入家具・雑貨イケアの通販サイトです。IKEAではハイデザインと機能性を兼ねそなえた商品を幅広く揃えています。>」と記載されていた。
これらのタイトルタグやメタタグの記載の結果,検索エンジンで「IKEA」,「イケア」とキーワード検索すると,検索結果の一覧が表示されるページにおいて,被告サイトは,上記各タイトルタグ及びメタタグの内容のとおり表示されていた。

というものでした。

裁判所としては、メタタグにおける商標の使用は、商標的使用に当たるというものでした。

インターネットの検索エンジンの検索結果において表示されるウェブページの説明は,ウェブサイトの概要等を示す広告であるということができるから,これが表示されるようにhtmlファイルにメタタグないしタイトルタグを記載することは,役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に当たる。そして,被告各標章は,htmlファイルにメタタグないしタイトルタグとして記載された結果,検索エンジンの検索結果において,被告サイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示され(甲20,21),これらが被告サイトにおける家具等の小売業務の出所等を表示し,インターネットユーザーの目に触れることにより,顧客が被告サイトにアクセスするよう誘引するのであるから,メタタグないしタイトルタグとしての使用は,商標的使用に当たるということができる
被告は,本件各商標をメタタグとして使用しているウェブサイトが多数存在するなどとして,被告各標章をメタタグに使用することが許されるかのような主張をするが,少なくとも本件における被告各標章の使用態様が違法性を欠くとは認めがたい。被告の主張は,採用することができない。

さて、そうなると青本の記載が「間違い」なのかといえば、そんなことは無いと思います。
今回の事案の場合は、検索すると表示されるということが問題になったわけです。
すなわち、ポイントは「需要者の目に触れることがあるか」ということです。

結局、メタタグだから使用に「該当しない」「該当する」と、割り切れない部分があります。
どうしても、受験生は、事案に対して結論を決める(覚える)ことがあります。
しかし、商標に関しては、割とそれだけでは解決しないことも多い(事案によって考え方が変わる)ので、注意が必要です。

参考:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/881/084881_hanrei.pdf