ダウンロード違法化に関する著作権法の改正

2012年の改正著作権法ですが、ニュース報道の通り、ギリギリでダウンロード違法化について急に修正が入ったようです。これらの条文については、自民党等の議員からの提出のため文部科学省のHPでは告知されていません。また、衆議院や参議院のサイトでも、修正条文についてはまだ上がっていません。

このような条文、ましてや刑事罰の適用がある条文については、ちゃんと国民に周知させてから改正して欲しいとは感じるところです。なお、衆議院の審議中継による池坊保子議員の趣旨説明によれば、修正された改正条文は概ね以下の内容かと思われます。

119条3項(追加)
私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

池坊議員が口頭で説明しているだけなので、条文の文言は少し異なるのかもしれません。しかし、例えば日本共産党の宮本岳志議員が途中で指摘していますが、例えばyoutube等は違法の動画と適法の動画が混在している訳です。このような場合にどうするのか、更にニコニコ動画みたいにサイト自体が著作権者と契約しているサイトと、youtubeのように色々混在しているサイト。その見極めも一般国民では難しいという問題もあります。
更に、元々有償著作物である映画コンテンツを放送事業者が、広告目的で一定期間無償公開する場合があります。その映画コンテンツが違法アップロードされている場合、それは「有償著作物」であるか否か?という問題もあります。ダウンロードする側は解らないのに、急に刑事罰が適用されるというのは、かなり強引な気がします。

結果として、主観的な要件である「自らその事実を知りながら」を広く解釈すればこの規定を適用できる場面は殆ど無くなります。そうすると、「効果が無い」としてこの要件も将来的にハズされるという懸念も出てくるわけです。
実際「ダウンロード行為について違法とはするが刑事罰の適用はしない」といって改正されてから僅か数年で「効果が無い」として、今回このような改正が行われそうになっています。であれば今後適用範囲が広がる可能性は高い気がします。

ダウンロードの違法化は、例えばリンクをクリックしただけで、予期しない状態で違法行為を働く可能性があるということです。現実に刑事罰が適用される可能性は低いと思いますが、恣意的に運用される可能性があるという条文はあまり好ましくないと個人的には思います。