17条の2第5項第4号における拒絶理由について

質問があったので、お答えします。

特17の2第5項4号でいう「拒絶の理由」とは、直近の理由に限られるとの理解で良いでしょうか。

確かにここは解りにくいところだと思います。

そもそも、17条の2第5項が補正要件となってくるのは、

  • 最後の拒絶理由に対する補正
  • 拒絶査定不服審判請求時の補正

のときに要件となってきます。例えば、

最初の拒絶理由通知→最後の拒絶理由通知→拒絶査定

と来た場合に、どこの拒絶理由で指摘されている内容かということになります。

この場合、質問者が記載しているように、「直近のもの」でよろしいかと思います。なお、通常「拒絶査定」とその前の「拒絶理由」とは同じ理由(内容)が記載されています。それは、拒絶理由が解消していないから拒絶査定となっているからです。

例えば、拒絶理由通知に理由1として36条違反が指摘されたとします。
補正をしても解消出来なかった場合、拒絶査定となります。したがって、この範囲にて補正可能です。

仮に理由1として36条違反(1つ目)が指摘されたとします。
補正のより理由1が解消されたが、新たな36条違反(理由2)が通知されます(最後の拒絶理由通知)。
これについて、補正をして解消すれば特許査定となります。
逆に解消しなければ拒絶査定となり、審判請求時には、4号であれば理由2の範囲で補正が出来るということです。
理由1は既に解消しているため、ここで補正する必要はありません。

したがって、直近の拒絶理由と理解しても問題無いかと思われます。

実務的な話題

受験生としては、上記理解で良いのですが・・・実務的に困ることもあります。
例えば、拒絶理由通知として、

  • 請求項1:29条2項違反
  • 請求項2:36条違反

を指摘され補正をしたとします。
このとき、いきなり「請求項1の29条2項違反が解消されていない為拒絶査定」と言われる場合があります。
拒絶査定自体は、1つでも理由があれば拒絶査定にすることは出来ます。
したがって、上記拒絶査定は条文上問題ありません。

しかし、他に補正した事項について、拒絶理由が解消しているか否かについて示唆が与えられない場合、その後の補正が非常にやりにくいのです。他の理由(請求項)についてその旨示唆してくれる審査官もいるのですが、この辺は審査官次第となっています。

そうならない補正にすべき(少なくとも最後の拒絶理由が来るような補正にする)と言われればそれまでなのですが、色々と事情がある場合もあります。

ユーザーフレンドリーの観点から、何らかの示唆を頂戴出来ると有り難いと、個人的には思っています(甘えかも知れませんが・・・)