間接侵害に「輸出が含まれていない」理由

質問があったのでお答えします。

特許法101条1号等の規定に「輸出」が含まれていない理由ですが、当該予備的行為の「侵害」が問題となる先は外国となります。
外国の権利について、保護するというのは属地主義の観点から異なるという理由で「輸出」が規定されていません。
平成18年改正本には以下の理由が記載されています。

意匠法第38条、特許法第101条第1号、実用新案法第28条第1号は、自己の権利に係る物の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等をする行為を「侵害とみなす行為」として規定している。属地主義の観点から、侵害品を海外で製造する行為は、我が国産業財産権法上の侵害行為ではないため、「製造にのみ用いる物」の輸出を侵害とみなすことは、侵害行為でない海外での製造行為の予備的行為を侵害行為としてとらえることとなり、適切でない。このため、「製造にのみ用いる物」の輸出行為は、「侵害とみなす行為」として規定しないこととした。

なお、併せて実施規定で「輸出の申し出」について規定されていない理由についても以下の様に記載があります。

輸出は、内国貨物を外国に送り出す行為として単独で成立し得る行為であるから、通常、申出行為というものは観念し得ない。また意匠法第2条第3項、特許法第2条第3項、実用新案法第2条第3項において実施とされている「譲渡等の申出」とは、権利品の展示やカタログによる勧誘・パンフレットの配布等も含む概念であると解されているところ、上記のような展示等の行為は、譲渡や貸渡しを目的としてなされるものであって、輸出という事実行為自体のためになされることは観念できない。
こうした観点から、「輸出の申出」は実施行為として規定しないこととした。

理由付けとして明確に覚える必要はありません。
しかし、短答の枝で考えるときの根拠(覚えるための理由)にはなると思います。