意匠法9条の2について

ご質問があったところですのでお答えします。
とくに意9条の2は扱いが難しいところです。

意9条の2は、登録後に補正が要旨変更であったと判断された場合、出願日をその日まで繰り下げるというものです。
要旨変更は、出願中であれば新出願が使えます。
それなのに、登録後になると無効になるのは酷ということです。

問題は、この9条の2はどのタイミングで争うかということです。
これは無効審判や侵害訴訟で争うことになります。

例えば、登録意匠Aが補正してA’となっています。
この補正が要旨変更だからA’になる・・・これだけ主張しても意味がありません。
例えば、AとA’の間に公知意匠Aがあったり、第三者がAを実施したことにより先使用権が認められることとなる。
このような場合であれば、意味があります。
そして、この9条の2の判断は当該事件の中だけの話です。
出願日がA’の日に変わる訳ではありません。
なので、別の事件ではAの出願日でまずは判断されます。
ただ、当然その事件でも、A’の日で判断される可能性は高くなると思います。
また、無効審判で無効とされれば、その辺は関係ありません。

さて、質問者は関連意匠制度の場合、本意匠が要旨変更であった場合について質問しています。
したがって、本意匠が補正されており、そこが要旨変更に該当するか否かが本意匠の無効審判で争われるのであれば出願日が変わります。
このときの関連意匠は別の権利ですから、上記本意匠の無効審判とは関係ありません。
逆に、関連意匠の無効審判において、本意匠が9条の2に該当することにより・・・と、関連意匠は本意匠とは別に争う必要があります。

短答試験としては、事案が複雑になりすぎるので、問われる可能性は低いと思います。