審査請求の取下げができない理由
とある受講生のつぶやきを見ていたら、審査請求の取下げについて書かれていたので、ちょこっとだけ。
審査請求の取下げができない理由としては、青本(P.183)には以下のように記載があります。
これは、出願審査の請求が審査開始の条件にすぎないからであり、また出願審査の請求がいったんなされた後は、出願審査の請求の手続自体が係属するものではないからである。そればかりでなく、取下げを認めるとそれまでに行った審査が全く無駄なことになる。審査開始の条件であるから、その行為は確定したものとする必要があり、審査すべき出願かどうか浮動するようなことでは困るので、一度行った出願審査の請求は取り下げることができないこととしたのである。また出願審査請求後にも特許出願の取下げはできるので、そのほかに出願審査の請求の取下げを認めることは手続が複雑になるだけで実益がないと考えられる。
色々と書いてあるのですが、青本は場面を想像しながら読むのが面白いのです。
そうすると、この文章・・・言いたかったところを想像すると・・・
取下げを認めるとそれまでに行った審査が全く無駄なことになる。
多分、これが重要です。試験的にはではなくて、特許庁的に重要です。
審査が全く無駄なことになる。
途中まで審査していた審査官が絶望する顔が思い浮かびません?
「なんだよ、審査してたのにぃ!!!」
という、虚無感に襲われる審査官。
審査が「全く」無駄なことになる・・・「全く」までつけています。
「すんごい無駄になった!」の気持ち、伝わってきます。
更にその後の記載ですが、
審査すべき出願かどうか浮動するようなことでは困る
「誰が?」って第三者というより、やはり「審査官」なのでしょう。
審査というのは、審査官が自分で調べるだけでなく、外部に検索の外注とかもかけています。
そう言う作業も全部無駄になってしまうのです。
この辺の趣旨が理解しにくいのは、「特許庁の都合」という側面が大きいからだと思います。
さすがにそれだけ書くのは気が引けたので、それなりの記載にしているって考えた方が、納得できるところだと思います。