第21回商標審査基準ワーキンググループ

商標審査基準の改正がだいぶ固まってきたようです。
今回改正されるのは、4条1項7号、8号、11号及びその他(商標法制定の趣旨に反する)です。

7号

剽窃的な出願に対する拒絶理由を明確にする方向性です。例えば、以下の記載が検討されています。

1.(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合

8号

短答試験でも出たミドルネームについて。外国人の場合、ミドルネームが無い場合は略称になるそうです。
そうなのか・・・

2.(2)外国人の「氏名」について、ミドルネームを含まない場合には、「略称」に該当する。

あとは、承諾の時点について。
審査基準に規定が出来れば、論文でカムホート事件を持ち出すまでもなさそうです。

6.他人の承諾について
「他人の承諾」は、査定時においてあることを要する。

11号

ちょっと厄介な改正かも。
今までの判例を踏まえているのですが、審査基準で規定される以上、押さえる必要が出てきます。

1.商標の類否判断方法について
(1)類否判断における総合的観察
商標の類否は、出願商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出願商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断する。なお、判断にあたっては指定商品又は指定役務における一般的・恒常的な取引の実情を考慮するが、当該商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的・限定的な取引の実情は考慮しないものとする。

といっても、外観・称呼・観念の話までは不要かな?

3.外観、称呼、観念の類否について
(1)外観の類否について
(ア)商標の外観の類否は、商標に接する需要者に強く印象付けられる両外観の外形上の要素を比較するとともに、需要者が、視覚を通じて認識する外観の全体的印象が、互いに紛らわしいか否かを考察する。
(2)称呼の類否について
商標の称呼の類否は、比較される両称呼の音質、音量及び音調並びに音節に関する判断要素のそれぞれにおいて、共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに、両商標が称呼され、聴覚されるときに需要者に与える称呼の全体的印象が、互いに紛らわしいか否かを考察する。
(3)観念の類否について
商標の観念の類否にあたっては、商標構成中の文字や図形等から、需要者が想起する意味又は意味合いが、互いに紛らわしいか否かを考察する。

11.商品又は役務の類否判断について
商品又は役務の類否は、商品又は役務が通常同一営業主により製造・販売又は提供されている等の事情により、出願商標及び引用商標に係る指定商品又は指定役務に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造・販売又は提供にかかる商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるかにより判断する。

あとは、先願商標の存続期間が満了している場合、6月経過(倍額納付期間)までは11号で拒絶する。それを経過した(回復期間)までは拒絶しないという改正が入るそう。これは運用が条文に近くなると思います。


最終的に固まるのがいつかは解りませんが、来年の試験範囲には入りそうです。