独立特許要件

独立特許要件について、質問がありましたので回答しておきます。

まず、独立特許要件というのは、「補正(訂正)したけど、そのままでは特許を受けることが出来ないから拒絶(無効)にしますよ」という意味です。
場面としては、最後の拒絶理由通知等に対する補正、訂正審判、訂正の請求で登場してきます。

「独立特許要件が問題となる場面は、前提として何があるか?」
と考えたことはあるでしょうか。独立特許要件が問われるということは、そもそもその「補正」「訂正」には問題がないということです。
詳しく見ていきましょう。

補正の場面

典型的なのが最後の拒絶理由通知に対する補正の場面です。
このとき、17条の2第5項第2号だけ「独立特許要件」が課されます。

例えば、4号の「明りょうで無い記載の釈明」について、補正をすることで明りょうになれば「特許査定」となります。逆に補正したけど拒絶になるということは、「明りょうになっていない」ということです。従って「補正要件違反」になります。

2号の限定的減縮については、まず「限定的減縮」になっていなければ、そもそも補正要件違反になります(したがって、補正は却下されます)。

それに対して、補正によって「限定的減縮」にはなっている場合。この場合は補正要件はクリアしていることになりますので、そのままでは補正を却下出来ません。

しかし、そのまま認めてしまうと、進歩性の拒絶理由がある場合、補正を認める意味があまりありません。したがって、独立特許要件を更にみることで、当該補正を却下するのです。

この「補正要件はクリアしている」というところがポイントになります。

訂正(審判)の場合

では訂正のときはどうでしょう?
例えば請求の範囲の減縮(1号)であれば、減縮になっていなければ訂正が認められません。
しかし、減縮されていれば、訂正は認められてしまいます。訂正要件をクリアしたけど、結局無効理由を含むのであれば訂正を認めないよというのが独立特許要件です。

しかし、3号「明りょうでない記載の釈明」については、不明りょうなものを明りょうにしたわけです。単に明りょうにしただけですから、他の無効理由はないものとして考えられています。
しかし、仮に訂正をしても、明りょうになっていない(無効理由がある)のであれば、そもそも訂正要件違反として、訂正拒絶理由(165条)の対象となります。

結論

独立特許要件とは、その前提となる「補正要件」「訂正要件」をクリアした場合に、それでもそのままでは特許とすることが出来ないと判断するための要件となります。
それ以外については、そもそも「補正要件」「訂正要件」で判断しています。