商68条の32の分割について

質問があったのでお答えします。

商標法68場の32第5条に、同条1項の商標登録出願(セントラルアタック後の再出願)は国際登録の指定商品等に含まれていたもの以外は分割出来ないとあります。
例えば国際登録に商品イが指定され、その登録の消滅後にイロについて68条の32に基づき出願をした場合拒絶になります。
ここで、ロは本条で分割出来ないと思いますが、では、イについて分割するのは可能でしょうか?
イロでロは分割出来ないけど、イなら分割OKに成るのでしょうか?

68条の32以降については、出願後は単なる日本の商標登録出願となります。
ただ、マドプロの利益を少し使わせて上げようということから、若干の特例を設けているのが68条の32以降です。
ここでロが分割出来ないというのは、「遡及効」を有さないようにするためです。
国際登録の指定商品等に含まれていないものについて、遡及効を与える意味がないためです。

さて、イについては、国際登録の指定商品について分割することが可能です。
その場合、結局残ったロについては、68条の32違反に該当し拒絶となるので問題無いと思われます。

ではロについても分割可能とし、分割後に68条の32で拒絶とすれば良いとも考えられます。
ただ、わざわざ分割の適法性を判断し、更に68条の32の要件を判断するのであれば、最初から分割出来ないとしておいた方が良いと立法者が判断したのだと思います。

なお、商標法68条の32の出願は、願書にその旨を記載します。

商標法第68条の32第1項及び同法第68条の33第1項の規定による商標登録出願をするときは 「【 手数料の表示】」の欄の次に「【その他】」の欄を設けて、その旨及び議定書第6条(4)の規定により取り消された又は議定書第15条(5)(b)の規定による議定書の廃棄に係る国
際登録の番号を記載する。この場合において、当該国際登録が事後指定に係るものであるときは、事後指定が国際登録簿に記録された日を記載する。

分割出願の願書にもこの旨を記載するかどうかは不明です。一応記載しておいた方が良い気はします。
特許庁に確認すれば解るのですが、この手の特殊な出願に関する質問はちょっと確認しにくいです(願番聞かれる可能性があります)。