短答試験と論文試験とのバランス

そういえば、先日の合格祝賀会の合格者の話を一人紹介します。

その合格者の人は、昨年の短答解法の受講生でした。
平成28年は、確実に短答試験の突破をすることを考えており、とりあえずほぼ短答の勉強だけを進めていました。
その結果、無事に短答試験に合格できました。

さて、この受講生は短答試験が終わった後、「論文試験をどうしようか?」という相談にやってきました。
話した内容は自分は半分程度の記憶しか無いのですが、合格者曰く「今年は論文試験は受かればラッキー位でやったら?」と言ったそうです。
・・・そんな気楽に言ったのかな?とおもったのですが、大変失礼致しました。

ただ、論文試験対策をしていないということであれば、「とりあえず、本試験までは過去問をしっかり回すこと」と伝えていると思います。
本人も「もう時間も無いし、過去問だけをしっかりやるか」ということで、過去問だけをやっていたそうです。
(回せたのは5年分だったそうです)

あとは、ブログで自分が直前の予想で「この辺の判例を押さえておくように」と書いたのを参照してそこだけまとめて・・・何とか無事に合格出来たとのことでした。
「ブログの予想が役に立った!」と、お褒めの言葉を頂戴しまして。
半分(いや、7割)お世辞ということは解っているが、素直に喜んでおきたいと思います。
いや、無事に合格できて本当によかったと思います。おめでとうございます。

さて、自分は入門生や短答組には、「短答試験に突破できる力を身につけて、論文試験を上手くすれば突破する」という力を身につけて欲しいといっています。
普段講義では短答中心の話をしていますが、論文に耐えうるような考え方、知識の導き出し方は伝えているつもりです。
そして、受験生としても、単に「○」「×」を出すだけではなく、2つのwhyをしっかり意識することで、短答試験の勉強をしつつ、論文の力が身につくはずです。
あとは、短答試験後に、論文の形式に出力する方法を勉強するために、論文の過去問を必死に回せばいいわけです。

ときどき「短答試験の勉強を中心にする」話をすると、まるで「論文はあきらめた」「今年の論文は終わった」と、かなり絶望する人がいます。
いやいや、弁理士試験の勉強として、短答試験と論文試験とはつながっています。
したがって、理由付けを考えたり、条文を意識することで、しっかり論文対策にもなっているのです。
なので、短答の勉強をしている間も、論文の力は向上していくと思っています。

短答組が論文試験をいつまでやるか?というのは、個人差があるので何とも言えません。
しかし、

  • 論文試験に時間を使いすぎて短答試験に合格できないリスク
  • 短答試験に時間を使いすぎて論文試験に合格出来ないリスク

を考えたたおき、はるかに前者の人の方が多いのです。
更に、後者であれば、「短答免除」という、最低限のメリットがあるわけです。

単に答えを求めるだけではなく、趣旨や理由付けをキッチリ考えることで、論文試験にも耐え、確実に短答の正解をだせるような勉強を心がけて下さい。