準用条文

質問があったのでお答えします。

[20-4-ハ]
「審判・再審において審判長は当事者および参加人に審尋することができる」という134条を、そのまま訊いているだけなのか、「拒絶査定不服審判では、そもそも参加制度が無く参加人がいないから、審尋もできない」ということを訊いているのかが分からず誤答しました。
題意把握を的確にできるコツとかあるのでしょうか。

そもそも、134条第4項は、拒絶査定不服審判においては、

審判長は、拒絶査定不服審判に関し、特許出願人を審尋することができる。

のような条文になり、参加人が出てきません。
なので、質問者のような内容が問われている訳ではありません。

そもそも、準用というのは、簡単に言うと「似たような規定を借りてきて、必要な修正をして使ってね」という意味です。
同じような条文があると、煩雑になるので、似たものは準用することで省略しているのです。

ここで大切なのは、そのまま読むのではなく、適宜修正をする必要があるのです。

例えば、意匠を甲と乙とが創作した場合、甲が単独で出願出来るでしょうか?
これは出来ません。理由は・・・意匠法15条で、特許法38条を準用しているからです。
ところが、特許法38条の規定ですが・・・

特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。

条文には、「意匠登録を受ける権利」とは記載されていません。
だから、読む人が「特許を受ける権利」を「意匠登録を受ける権利」と、条文に指示がなくても読み替えるのです。
これくらい解りやすい条文だと質問はないのですが、上記の134条位になってくると、質問が出たりします。

なお、この疑問点が出てくるのは、おそらく「読替準用」という規定がわざわざ有るからだと思っています。
「読替準用」がされてないなら、「そのまま使う」のではないか?と思ってしまうのです。

準特38条みたいに、明らかにそのまま使えない規定は問題無いのですが、そのまま使えそうな規定だと混乱します。

「読替準用」がされるパターンは主に2つです。

パターン1:規定を上書きして違う内容にしたい場合

例えば、意匠法15条で準用する特許法43条1項です。
優先権の手続期間を特許法とは異なるものとしています。

パターン2:そのまま準用すると疑義が生じる場合

例えば、商標法63条2項で準用する特許法179条です。
50条等の取消審判は特許法に規定がないため、当事者系審判に含めて良いのかどうか解りませんので、規定されています。
延長登録無効審判が商標法にないからではありません(実用新案法・意匠法では読替準用はされていません)