優先権主張の補充又は追加について(PCT R26の2)

PCT規則26の2に関する質問です。

この規則はかなり読みにくいのですが、以下のような内容となります。
特許庁の「平成29年度知的財産権制度説明会(実務者向け)テキスト」の「特許協力条約(PCT)に基づく国際出願制度の概要」のP.22から引用します。

PCT国際出願の手続においては、PCT国際出願時に誤って主張した、あるいは、主張し損ねた優先権主張を訂正、追加することができます。
優先権主張の訂正、追加は、以下の期間内に限り行うことができます。
① 優先権主張の訂正、追加により優先日が変更されない場合
 国際出願日から4ヶ月以内、または優先日から16ヶ月のどちらか遅く満了する期間
② 優先権主張の訂正、追加により優先日が変更される場合
 国際出願日から4ヶ月以内、または次の期限が国際出願日から4ヶ月よりも遅い場合には、次の期限のうち早く満了する期限
  (a)優先権主張の訂正、追加前の願書に主張された優先日から16ヶ月
  (b)優先権主張の訂正、追加により変更される、新しい優先日から16ヶ月

条文上は、但書で国際出願日から4ヶ月を経過すると提出出来なさそうですが、提出することは可能です。
なお、最近は特許庁もあっさり書いていますが、以前はわざわざ注記がありました。
以下は平成27年版のテキストから引用したものです。
f:id:baba-p:20180325030520p:plain
欄外に「規則原文の規定振りが曖昧で、広い解釈を招いたが、」とわざわざ記載があります。

ということで、4ヶ月を超えて優先権主張の訂正、追加が認められることがあります。

平成15年の問17の枝5で
「国際出願日から4月を経過した後は、当該国際出願において、優先権の主張の追加をすることができない。」
とありますが、今の解釈では「×」となります。